energytransition’s diary

急速に変化する電力・エネルギー業界での出来事について慎ましく発信するブログです。

ぐだぐだ言うならTeslaの株なんか買うな

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Teslaのイーロン・マスクCEOが批判に晒されている。これ自体は決して珍しいことではないが、今回マスクCEOを批判しているのは他ならぬTeslaの株主である。

 

マスクCEOがツイートを通じてTeslaの株価を不当に操作したとして公正取引委員会(SEC)から告訴され、その後両者が和解に合意。

 

しかし、腹の虫がおさまらないマスクCEOは和解発表後にSECを痛烈に皮肉るツイートを投下。

 

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これによって、恐らくはSECらとの更なる問題に巻き込まれることに対する懸念が高まりTeslaの株価は下落。これに不満を持ったTesla株主がマスクCEOをツイッター上で批判、マスクCEOとの応酬を繰り広げている。

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一部の投資家が「あなたの軽率なツイートのせいで私たちTeslaの株主が被害を被っているじゃないか!」と主張するのに対し、マスクCEOは「落ち着いてくれ。本当の長期投資家ならば大丈夫だ。」と意に介さず。

 

一般論としては、経営者は企業価値の最大化に尽くすべきなのであるから、株価の下落(企業価値の低下)に繋がるツイートを繰り返しちゃうなんて言語道断だろう。

 

そういう意味では投資家の言う通りであるし、上場企業のCEOとしても、一人の大人としても、今回のマスクCEOの立ち居振る舞いは大して褒められたものではないと思うが、それ以上にこう思う。

 

「これくらいでぐだぐだ言うならTeslaの株なんか買うな」

 

まず、マスクCEOが品行方正な行動・言動に徹する人物ではないことなど、火を見るよりも明らかである。率直、アグレッシブ、競争的、好戦的というのが広く一般に認識されているマスクCEOの人物像であり、これがゆえに彼の群を抜く構想力、リーダーシップ、行動力がもたらされている。

 

今日のTeslaがあるのも、これからのTeslaの成長が期待されるのも、それはマスクCEOの功績によるところが大であり、これは市場で広く認識されている常識であると言っていいだろう。

 

これを可能にしているマスクCEOのキャラクターについて、今さらなんで不満を持っているのか、理解に苦しむ。

 

そして、さらに言えば、Teslaに経済的なリターンを期待して投資するのは投資家としてどうなの?というのが個人的に率直な感覚である(もちろん投資哲学は人それぞれなので本格的に口を挟むつもりもないが)。

 

そもそも自動車産業は、R&D(研究開発)や宣伝広告、ブランディングに継続的かつ多額の資金を振り向ける必要があるため、株主還元に回す資金がどうしても限られてしまう性質があるため、長期的な投資対象としては不向きだと言われており、その通りだと思う。

 

(これはさすがにマスクCEOは言えないと思うが)Teslaに長期の経済的なリターンを求めて投資するのは投資家のセンス的にどうなんだろうかと思う。

 

Teslaに投資をする理由としてありえると思うのは、①短期的な経済的なリターンを求めるケース(短期的な株価の上昇を狙う)、②Teslaの長期的なビジョンを応援したいケース(経済的リターンは重視せず)のどちらかではないか。

 

マスクCEOのTeslaに対するコミットは本物だと思う。だが、彼の言動も経営スタイルも変わらないだろう。アグレッシブな計画をぶち上げるだろうし、新しいモデルの生産に手こずることもあるだろう、また、軽率なツイートだってないとも限らない。結果として、株価は短期的に上下することがあるだろう。

 

でも、Teslaという企業が、より多くの人々にEVを届け、自動運転やシェアリングを通じて人々の移動に変革を起こす大きなチャンスを持っていると思う。とっても夢のある企業であるし、これがうまくいけば、長ーい目で見れば企業価値は上がっていくかもしれない(でもこれをあてにすべきではない)。

 

これを信じられる人にとってTeslaは投資するに値する面白い企業だし、いまいちこれを信じ切れずぐだぐだ言うならTeslaの株なんか買うべきじゃないと思う。