energytransition’s diary

急速に変化する電力・エネルギー業界での出来事について慎ましく発信するブログです。

米大手ファンドBlackstone 蓄電デベロッパーNRStor C&Iを買収

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アメリカのプライベートエクイティファンドであるBlackstoneが蓄電デベロッパーであるNRStor C&Iを買収したと発表した。買収金額や条件は非公表。

 

(直近、新型コロナウイルスの影響で世界の金融市場は大混乱だが)世界的な金融緩和を受けて、投資先に困ったPEファンドが蓄電案件向けのファイナンスに強い関心を示している流れが続いているが、本件もその流れに沿ったものと言える。

 

「大型集中電源の時代」から「中小型分散電源の時代」に移り変わっていく中で、分散太陽光発電に対するファイナンスが真っ先に注目を浴びた。しかし、これは技術的にProvenな世界でありリターン水準が切り下げられていること、そしてアメリカにおいては連邦政府の税制優遇により税務当局の複雑な規制を受けながらのファイナンスが必要となることなどから、今となってはPEファンドは一定の距離感を置いているように見受けられる。

 

一方で、蓄電システムについては未だ技術的・制度的なリスクが一定程度あるとの見方が残っておりリターン水準が相対的に高いこと、そして税務当局の規制を受けたファイナンス等も原則と不要なこと(再生可能エネルギーによって充電される蓄電システム等の例外あり)などから、PEファンドが積極的に食指を伸ばしているように見える。

 

NRStor C&Iはカナダ・トロントをベートした蓄電デベロッパーであり、カナダ・オンタリオ州や米国カリフォルニア州などで電力需要家のサイトに設置する蓄電案件を200MWh超開発しているとのこと。

 

BlackstoneはNRStor C&Iの開発部隊に資金を拠出することで、その開発資産に対してファイナンスを提供する機会を獲得することを目論んでいるものとみられる。今回の買収の詳細は不明だが、資金的なサポートを得たNRStor C&Iが今後どのような取組を進めていくのか要注目である。

 

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