energytransition’s diary

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カリフォルニア州 電力の100%非化石燃料由来化を義務付ける法案が下院通過

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カリフォルニア州2045年までに全ての電力を非化石燃料由来とすることを義務付ける法案(Senate Bill 100、SB100)が、先日電力・ユーティリティ委員会を通過したのに引き続き、州議会下院も通過した。

 

SB100は、上院を通過したバージョンとの擦り合わせを経て、今後、ブラウン知事の署名を得れば成立となる見込み。ブラウン知事は本法案に対するポジションをこれまで明らかにしておらず、どんでん返しを予想する声もないではないが、親REの筆頭格ともいえる人物が反対する可能性はさほど高くないと思われる。

 

SB100が求めるのは、電力の100%を“非化石燃料由来”とすることであり、“再生可能エネルギー(RE)由来”とすることではないものの、SB100は同時にCA州のRE目標を50%→60%@2030年に引き上げており、同州における一層のRE導入を後押しすることとなるだろう。

 

ちなみに、2017年時点でのカリフォルニア州の非化石燃料由来の電力比率は53%。太陽光を中心としたREが29%、原子力が9%、水力が15%となっており、合計53%。残りの大半はガス火力由来となっている。

 

PG&Eをはじめとした各電力会社はSB100が求める時間軸は非現実的として反発していたものの、頻発する山火事の損害賠償責任を追及されている中で、政策的意向に押し切られた格好と思われる。

 

尚、本法案の成立は、REプレイヤーにとっては追い風なるも、長期的な目標にて足元でのインパクトは限定的、一方で蓄電や長距離送電線に関するプレイヤーにとっては好材料、との業界反応。

 

2045年にRE 60%(主に太陽光、風力)、非RE・非化石燃料由来 40%(主に原子力、水力)とすればSB 100を充足することとなるが、カリフォルニア州における原子力や水力の新設は現実的ではなく、実態としてはよりREの導入を促進しつつ、電力系統の不安定化を回避する施策が求められると思われる。さてどうなるか。

 

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